再建築不可物件のリフォームは気をつけて!売ってしまった方が圧倒的に楽!?

再建築不可物件におけるリフォームは、通常の物件と比較して複雑なプロセスが求められる傾向があります。この章では、再建築不可物件のリフォームが困難な理由と、再建築不可物件の特性について解説します。

再建築不可物件の定義

再建築不可物件は、建築基準法の要件を満たさず、一度取り壊しを行うと同じ場所に建物を再建することができない物件を指します。これは、1950年以前に建てられた不動産において、現行の建築基準法に適合していない土地や建物が存在することに起因しています。たとえば、建築基準法第43条で規定されている「接道義務」を満たしていない土地が再建築不可物件とされます。

接道義務

建築基準法によれば、建物を建築する土地は、法定の道路に2メートル以上接していなければなりません。この接道義務を満たしていない土地は、再建築不可物件として扱われます。したがって、取り壊した場合、新しい建物を建てることができないという特性があります。

再建築不可物件の建築確認の難しさ

再建築不可物件は建築確認が通らないため、リフォームや修繕が非常に難しいのが実情です。建築確認は、修繕やリフォーム、増改築を行う際に、建物や土地が現行の建築基準法に準拠しているかを確認する制度です。建築確認は通常、物件を管轄する役所の建築課に申請する必要がありますが、再建築不可物件は基準に合致していないため、建築確認を通過できません。

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建築確認が必要な範囲

ただし、再建築不可物件においても、建築確認が必要な範囲とそうでない範囲が存在します。建物の分類によって建築確認が必要な範囲が異なり、第一号から第四号までの建築物が存在します。第四号建築物は通常、大規模なリフォームにおいても建築確認が不要な範囲とされています。

建築物の分類

建物は第一号から第四号までの四つの分類に分かれます。第一号建築物は床面積が200平方メートルを超える特殊建築物であり、第二号から第四号まで、様々な要件が規定されています。

  • 第一号建築物: 床面積が200平方メートルを超える特殊建築物
  • 第二号建築物: 木造3階建以上、または延床面積500平方メートル以上、または高さ13メートル以上
  • 第三号建築物: 木造以外の2階建以上、または延床面積が200平方メートル以上
  • 第四号建築物: 上記に該当しない建築物

第四号建築物の特性

第四号建築物は、例えば一般住宅やプレハブ、コンテナなどが含まれます。この建築物は通常、大規模なリフォームにおいても建築確認が不要な範囲となります。具体的には、延床面積500平方メートル以下の木造住宅や、延床面積500平方メートル以下の鉄骨2階建てなどがこれに該当します。

リフォーム可能なケース

再建築不可物件においても、リフォームが可能なケースが存在します。具体的には以下の2つのパターンが考えられます。

  1. 大規模でない通常のリフォーム
  2. 第四号建築物に該当する大規模なリフォーム

【大規模でない通常のリフォーム

大規模でない通常のリフォームは、建物の分類にかかわらず可能です。これは、一般的な修繕やリフォームが、通常の建築確認を必要としないからです。具体的な例としては、キッチンや水回りのリフォーム、壁の塗り替えや張り替えなどが挙げられます。

第四号建築物に該当する大規模なリフォーム

第四号建築物に該当する建物は、大規模なリフォームにおいても建築確認が不要です。例えば、建物の過半以上の柱を取り替えたり、建物全体の壁を防音素材や耐熱素材に変更するようなリフォームが可能です。ただし、柱を1本だけ残してリフォームする場合でも、床面積の変更がある場合には確認が必要となることに留意する必要があります。

リフォームできないケース

一方で、再建築不可物件においてはリフォームが難しいケースも存在します。具体的には以下の2つのパターンが考えられます。

  1. 第一号から第三号に分類される建物での大規模修繕
  2. どの建物にも該当しないが、増築を伴う場合

大規模修繕

第一号から第三号に分類される建物は、大規模な修繕を行うことができません。これは、再建築不可物件が現行の建築基準法に適合していないため、大規模な修繕には建築確認が必要であり、その通過が難しいためです。例えば、建物の過半以上の柱を取り替えたり、建物全体の壁を変更するような修繕は行えません。

【増築

再建築不可物件においては、どの建物にも該当しない第四号建築物であっても、増築を行う場合には確認申請が必要です。増築の際は、建物の分類に関わらず確認が必要であり、再建築不可物件がその要件を満たすことは難しいためです。

2025年の法改定に伴う注意点

2025年の法改定に伴い、第四号建築物は「新二号建築物」と「新三号建築物」に再分類されます。これにより、これらの新たな分類に該当する建物も一部で建築確認が必要となります。法改定の背景には、省エネ対策による建物の重量化が挙げられます。この変更により、第四号建築物でも一部の大規模なリフォームにおいて建築確認が必要になることに留意する必要があります。

リフォームの限界

再建築不可物件においてリフォームを行っても、根本的な解決にはなりません。なぜなら、再建築不可物件は建物全体を建て替えることができないため、いずれ再びリフォームが必要となる可能性が高まります。また、再建築不可物件は一般の不動産よりも売却が難しく、手放すことが難しい現実も考慮する必要があります。そのため、リフォームは一時的な応急処置に過ぎないことを理解し、将来的な視点で検討することが重要です。

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