底地は意外と相続税高い!?納税資金がない場合はどうするの?

まずは、底地ってなに?

「底地(そこち)」とは、借地権が設定されている土地のことをいいます。「貸地(かしち)」とも呼ばれます。底地の所有者が地主、土地を借りている(借地権を持っている)人を借地人(しゃくちにん)といいます。

底地を所有する地主には、借地人に土地を貸すことで地代(賃料)を受け取れる権利や、契約更新などの際に借地人から一定のお金をもらえる権利があります。また借地人が他の人に借地権を売買する際は地主の承諾が必要で、その際は承諾料を請求できます。

底地=他の人に貸すことで、何らかの利益を得ている土地、ということもできます。

底地の相続評価は高い割に相続税が高い!?

底地の所有は、地主にとって複雑な経済的な挑戦をもたらします。これらの土地は、地代の収入が低い一方で、固定資産税や相続税の負担が重くなることが一般的です。結果として、多くの地主は納税資金の確保に苦労します。

納税資金を用意する際、現金が必要です。手元の資産や相続される財産だけでは不足する場合、底地の売却、親族からの借入、税金の延納や物納が有効な手段となります。

特に、相続税は故人の死後10ヶ月以内に支払う必要があるため、計画的に資金を用意することが重要です。

底地の特徴として、地代収入が比較的低いにも関わらず、相続税負担が高い点が挙げられます。このような状況下で、小規模宅地の特例などを利用しても、最終的には税の負担が大きくなることがあります。また、底地には、借地人の建物がある限り、法律により契約が更新され続けるため、地主は土地を自由に活用することが難しく、借地契約の解除も容易ではありません。

小規模宅地等の特例

被相続人が所有する「住居用の土地」「事業を行っていた土地」「賃貸していた土地」について、一定の条件を満たせば相続税が最大80%減額される特例のことです。

引用元:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4124.htm

底地の相続税評価額の計算には、借地権の割合が重要です。普通借地権と定期借地権の評価方法が異なり、計算式は国税庁のウェブサイトなどで確認することができます。底地を相続する際は、共有名義よりも単独名義が望ましいとされています。これは、共有名義にすると、売却や管理に共有者全員の同意が必要になるためです。

また、底地は相続税が高いにもかかわらず、「土地に借地人の建物がある限り契約が更新される」という法律で規定されているので、借地権を保有する借地人の権限が強いです。

「相続税負担が大きく」+「土地を自由に扱えない」ことで、底地の買い手が現れることは本当に少なく、所有しながら高い税金を払い続ける地主が多いのが現状です。

そのような問題でお困りであれば、お気軽にご相談してください。

相続税評価額の計算方法とは

底地の計算方法は大変わかりやすくて、単純です。

底地の相続税評価額 = 更地価格 × (1 – 地権割合)

「借地権割合」は国税庁HPに掲載されている路線価図によって導き出すことができます。

例えば、更地の価格が5,000万円、借地権割合が40%の場合、底地の評価額は以下になります。

更地価格 × (1 – 借地権割合) = 5,000万円 × (100% – 40%) = 3,000万円

定期借地権が付随する底地の評価額は、以下2つの計算方法のうち、低い価格となった方を利用します。

1.更地価格 – 「更地価格×(A/B)×(C/D)」で算出した定期借地権の評価額

A:定期借地権等の設定時における借地権者に帰属する経済的利益の総額
B:定期借地権等の設定時におけるその宅地の通常の取引価額
C:課税時期におけるその定期借地権の残存期間年数に応ずる基準年利率による複利年金現価率
D:定期借地権の設定期間年数に応じる基準年利率による複利年金現価率

引用元:借地権の評価(国税庁HP)

Aの「借地権者に帰属する経済的利益の総額」とは、借地権者の手元に入る利益のことです。権利金・保証金・地代の差額などが当てはまります。

Bは、土地が市場で取引されている場合の通常価格のことです。

Cに関して、「課税時期」は相続が開始した日、「残存期間年数」は定期借地権の残り期間を指します。

例えば、借地権の設定期間が30年で10年経過後に相続した場合、残存期間年数は「30-10=20年」となります。

C・Dに含まれる「基準年利率」「複利年金現価率」は、国税庁HPでご確認ください。

こちらから確認できます→ 国税庁 法令解釈通達

2.更地価格 – (更地価格×定期借地権の残存期間に応じた以下の割合)
残存期間5年以下:5%
残存期間5年を超えて10年以下:10%
残存期間10年を超えて15年以下:15%
残存期間15年を超える:20%

こちらも参考にしてください

全日本不動産協会 定期借地権と底地の相続税評価について
自用地・貸家建付地(貸家の敷地)の評価

納税資金が不足している場合の解決策として、延納制度の利用、金融機関や親族からの借入、物納制度の利用などがあります。これらの方法で対処が難しい場合、底地を売却して資金を調達することも検討する必要があります。借地人への売却や、借地人との協力による同時売却、専門業者への売却などが方法としてあります。

万が一、これらの方法でも解決できない場合は、相続放棄や限定承認を選択することが最後の手段です。相続放棄は、故人の負債を引き受ける必要がなくなるものの、プラスの財産も相続できなくなるため注意が必要です。限定承認では、財産の範囲内でのみ負債を負担します。

底地を相続する際は、相続税の申告期限までに納税資金を準備する必要があります。遺産分割協議では、被相続人の財産を把握し、底地の将来的な活用方法について家族間で話し合うことが大切です。売却を選択する場合は、借地人との協力による共同売却が理想的ですが、うまくいかない場合は専門の買取業者への依頼も一つの方法です。

底地の相続に関わる問題は複雑であり、税理士や司法書士などの専門家への相談も考慮に入れるべきです。

もし売却されたいなどがございましたら、いつでもお気軽にご相談ください。